−和うるし工房あい−
和 う る し の 作 品 に つ い て

■工房のコンセプト

和うるし工房あいでは、器の作品は素地となる“木”と100%“日本産漆”で作られています。漆工芸の世界をよく知らない私たちとっては一見何でもないことのようですが、これはそうとう画期的なことなのです。
一般の作家さんや業者さんのように下地に中国産を使っていたり、ブレンドしていたり、ましてや化学塗料も使っているなどということは一切ありません。(同業者の方々は“日本産漆だけで物づくりができるなんて、そんなこと現実にありえない”となかなか信用してくれないそうです)

また、工房では灯油やテレピン油といった石油系の有機溶剤も全くうるしに混ぜず、木からにじみ出たきれいな樹液をナチュラルなままで使っているそうです。最初にそのことを聞いたわたしは「えっ、普通の漆器ってそんなものを混ぜて塗っていたの!?」とびっくりしてしまいました。
買った納豆のパッケージに「遺伝子組替え大豆は使ってません」という表記を見つけて「じゃあ今まで知らずに食べてたのか」と衝撃を受ける感じにちょっと近かったかもしれません。漆工芸では作業性アップやコストダウン(漆を薄めて増量)のため、有機溶剤を混ぜることが制作工程に組み込まれ、それがすっかり定着してしまっているそうです。それを聞いてわたしは、漆器はツーンとした嫌な匂いがするもの…というイメージがあったことを、ふと思い出しました。
保存状態のよくないまま輸入される腐敗した中国産うるし、漆工芸の作業でどんどん混入される有機溶剤。あの漆器の不自然な匂いは、やっぱりそれらと関係があるのかもしれませんね。  

歴史に消えた和うるし・中国産うるしのヒミツ

「きれいなうるし樹液は、そんなおかしな匂いはしないんですよ。うるしによって違うけど、無臭に近かったり、かすかな木の香りや、フルーツのようなちょっと甘ずっぱい香りがしたりするんです」と宮崎佐和子さん。

そして「木から流れ出た樹液は、そのままでバランスが取れている。採れる時期や採り方、保存状態によって乾く速度や表情が違うが、それぞれのうるしの個性を活かした仕事に使えばいいんですよ」と、松本和明さんはこともなげににこやかに話します。しかし、それは誰にでも容易にできることとは思えません。
市場に出まわる、加工され“飼い馴らされた漆”なら画材のように安定しているし、マニュアルがあればわたしでも使えるかもしれない。でも、ワインのように大地から生まれ、徐々に熟成を深めていく生の和うるしを使いこなすとなると、うるしの特性を見極める鋭い感性と経験がなければ難しいはずです。

「うるしの木は本当に不思議な木です。私たちに樹液を出してくれるための木に神様が作ったしか思えないんです。木があって、樹液を採る人がいて、それを使う人がいる。本当に日本の宝ものだと思いますよ」としみじみ話す2人に、あらためて並々ならぬ漆への思い入れを強く感じました。


和紙でゆっくり濾される、なまの“和うるし”。
乳褐色の樹液は、空気に触れて濃いあめ色と
なっていく。

 

このサイトを見て、和うるし工房あいの活動や作品に興味を持って下さった方には、ぜひ一度実際に2人が作っている和うるしの器を使って欲しいと思います。手にとってみると、多分これまで持っていた「漆器」のイメージが、がらりと変わってしまうはず。私もお碗を使っていますが、どんな食卓にもマッチする独特の風合いが魅力的で、いくら使っても使い飽きない馴染みの良さがあります。
また、和うるし工房あいでは作品作りに、なまの生きたうるし樹液を使っているため「全く同じ仕上がりもの」はできません。つまり、ひとつひとつが「世界で1つのもの」であり、手にした人にとってのオリジナルになるのです。そういった部分も、楽しみの1つなんですよ。

松本さんと宮崎さんが作品展という形を大切にしているのは、お客さんには直接お会いして言葉を交わしたい、そして作品を実際に見た上でぴったりの器に出会ってもらいたいと考えているからなのです。

ニュース(作品展予定)


場所やスケジュールの関係で、なかなか作品展には足を運べないという方には、工房の和うるしの器「ai-japan」シリーズが「エコショップすが」のHPでのみ、ネット販売もされています。
ぜひご覧になってみて下さい。


エコショップすが HP